志望動機

倒産しそうな会社からの転職活動術

リーマンショックから日本経済は急速に立ち直りました。

 

でも当初の転職エージェントはもう大変な状態でした。
急速に悪化する事業を維持するために新規採用は全面ストップ。

 

転職エージェント自身も企業からのオファーが減って憂き目を見ることになりました。
受注が増えないその一方で、ある種別の登録者が急速に増加するのです。

倒産・経営不振を理由とした転職活動

「実はウチの会社、もう危ないんです。。。」

景気の悪化は業績の悪化への連鎖し、人員整理が追いつかず企業体の維持が不可能になる。
結果的に職を失った、またはもう失われることが見えていることを理由とする転職希望者が増加しました。

 

しかし実はこの状況、表現と論拠さえきちんと整えれば転職活動を優位にすすめることも可能になります。

面接・選考での内容に変化

具体的にはどのような部分に独自性、特色が現れるか考えてみましょう。
転職の活動の全てがつまった3要素。自己PR・志望動機・転職理由です。

 

表現のバリエーションは、転職活動が倒産の前なのか後なのかでも少し変化します。

自己PR:倒産確定以後に変化

「会社が危ないと知ってからも、なんとかしたい一心で取り組みを考えました…」

倒産・経営不振を自己PRに利用する場合、その転職活動は基本的には会社が手遅れになってからの方が良いです。
アピールすべきは上記の文例にあるように愛社精神や責任感

 

もうなくなってしまうことがわかっている会社のなかで汗をかいてあがき続けた事実があるのです。
これ以上に「私は諦めが悪いです」という自己PRの証左になるようなエピロードはないでしょう。

志望動機:倒産濃厚時点から変化

「残念ながら現職の継続は難しくなりました、しかし私は今の業務を続けたく競合である御社に…」

会社がなくなりそうな状況を志望動機に反映させるならば、自分の職種・職務に誇りとこだわりがあることを伝えましょう。

 

この仕事を続けたいから、それができる志望先を探している。
こうしたシンプルな論法です。

 

貴方の職種がプロフィットセンター系の頻繁に募集されるニーズの高いものであるならば、競合他社への志望動機も強みを増すでしょう。

転職理由:シナリオは2つ

「会社がなくなってしまうと発表され、新天地を探しています。」

倒産は会社都合退職であり、個人にまったく非がないものです。
ですので、その事実が確定し公表されてから実施する転職活動では事実をそのまま伝えるだけで話は通ります。

 

多くの場合、転職活動は自己都合退職から生じるものですので、転職理由に納得できるだけの論理が必要です。
その必要がまったくないという点で、面接における30%以上の事項をクリアすることなるメリットがあります。

 

一方、倒産が確定していないがどうやら濃厚であると知って実施する転職活動もあります。

 

「会社がなくなることを知ってしまい、転職を決意しました。」

業務のミスマッチや人間関係を理由とした転職理由よりはよほど納得性あるものではあります。
しかしながら、この「どうやら倒産するらしい」という認識に注意点があります。

 

  • どうして経営情報知り得たのか?
  • なぜ倒産が内部公表される前に動くのか?

 

倒産確定前に転職理由としてしまうことで、この部分に手痛い突っ込みを入れてくる面接官がいるわけです。

倒産・経営不振と判断する根拠に注意

「貴方は何故、今のお勤め先のそうした危機的状況を知り得たのですか?」

面接とはお見合いの場。
とりわけ人事部は性悪説で物事を考えろと指導されることもあります。

 

会社はいつでも愛社精神に溢れた、誠実で実直でひたむきな人物像を求めています。
情報を私的に利用したり、同僚や会社を見捨てるといったネガティブなイメージを嫌うわけです。

 

たとえば、下記のような部門に所属しているならば経営状態を感知することはできるでしょう。

経営企画

  • 経営計画策定のうえで管理会計情報を参照する
  • 経営会議直轄組織で取締役会に出入りする

 

経営企画系の部門は会社の脳を知ります。
役職付きでなく、分析系業務やレポーティングを主とするワーカーであっても企業の状況をほぼ把握できてしまう職務です。

経理・財務

  • 財務会計・管理会計を実施する
  • 融資・債権回収等資金の流れを把握する

 

経理・財務部門は会社の血である資金を扱います。
精通した担当者であれば、業績の推移とキャッシュフロー・内部留保そして資金の流れで会社の状況を察します。

人事・総務

  • 人員計画の策定と遂行をする
  • 流動・固定資産を管理する

 

人事・総務部門は会社の骨組みとフォーメーションを司ります。
経営状況が慌ただしくなると資産の売却が始まり、次いで人員整理が計画されることで痛みを伴う改革を実施します。

 

上記だけにとどまらず、コストカットの動きから広報・宣伝部門や購買部門が状況を察することも多いです。
皮肉なことに、前線に立って売上を立てている営業部門だけが何も知らされぬままというのもよくある話です。

倒産は突っ込みようのない転職理由

倒産後の転職 倒産間近の転職
転職理由は明白であり、最後まで責任を全うしたという自己PRが説得力を持つ 経済面のリスク回避可能。しかし倒産判断の論拠を明確にする必要がある

 

手の施しようがない経営状態である場合は給与未払いのリスクなども出てきます。
つまり、経済面のみで判断するならば一刻も早く動くが吉ということです。

 

繰り返しになりますが、その際はなぜその情報を知りえたのかという点について理論武装を実施すること。
上記で述べたような本社管理部門に在籍していることはその1つであり、社内情報網や懇意にしてもらっている上司からのリークなど方便はあるはずです。

 

  • 会社を裏切りたくないから自分なりにできるところまではやった
  • しかし、生きていかねばならないし、私は私の仕事を続けたい
  • 私は御社ならばお役に立てると考えてここに来ました

 

言葉に力を乗せて、人として現職にどう恩を感じけじめをつけているのかを伝える。
倒産前後に関わらず、こうしてより良い職場への転職が実現した例を私は沢山目にすることができています。

登録すべき転職エージェント

リクルート出身で自身も数度の転職経験を持つ筆者が選びました。

転職エージェントには個々の強みと特色が存在します。
貴方にとってベストに近い選択肢を複数持ち、積極的に彼らを利用していきましょう。

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