転職活動の書類選考はシビアです。
理由は簡単で、面接には現場部門の協力が必要なため。
人事部門としてはなるべく確度の高い候補者をそれも少数で揃えたい。
ゆえに、デジタルな指標でざっくりと線を引いてしまうことが増えます。
さて、そんな書類選考にはどんな工夫ができるでしょうか?
書類選考はやったもん勝ち
「あーあ、また書類選考落ちだよ。」
実のところ、書類選考での落選は面接での不採用と違いダメージが軽くなりがちです。
なぜなら、勝負に出るための労力が節約できるからです。
履歴書・職務経歴書は準備したものを複製して送信するだけ。
あとはせいぜい、志望動機欄を応募する会社に合わせて編集するだけ。
と、どこか心に引っかかる部分はないでしょうか?
書類選考にはもっともっとあがける部分が沢山あります。
基本的なものから確認していきましょう。
ブラッシュアップ系
まずはシンプルに職務経歴書の内容に関する工夫から。
大部分のテンプレートでは、在籍した企業をその順番で記載する時系列に沿った職務経歴書になっています。
そんなくだらない既存の枠組みに従う必要はありません。
次の2つの編集方針を取り入れてはいかがでしょうか。
職種カテゴライズ
職務経歴書
私はXX年のキャリアの中で複数の職種の経歴を有しています。
本書においては、募集職種である◯◯に合わせ、経歴を職種別に記載しております…
キャリアが長くなると経験職種が多くなる傾向があります。
- 経歴の中では営業が一番長いが、直近は企画部門だった
- 今回応募したい職種は営業職である
このような状況の場合、単に所属企業の時系列に沿って経歴を書くと結論が企画部門に来てしまいます。
人間はどうしても文書の終わりが重要な部分と理解してしまうもの。
経験職種と募集職種の兼ね合いから、職種毎に経歴ボックスを編集する工夫は有効です。
時系列変動
職務経歴書
私はキャリアの中で計◯社の経験を持ちます。
本書においては、募集職種であるXXの経験がある企業からその経歴を記載しております…
転職歴が3社以上くらいになると、時系列を募集職種に合わせて変動させる編集方法が有効です。
- 2社目で長く経験した職種があり、今回応募したい
- 経歴は所属企業別とし、2社目を一つ目の章立て、残りをその他の経歴として章立てする
転職歴が多い場合の書類選考は1枚目でインパクトを出せるかが勝負です。
人事は数多くの応募書類に辟易としており、第一段階のスクリーニングはかなりスピーディーに実施するもの。
経験者数が1社しかない場合はその1社の中で経験職種が表現できるので、最新期である最後の行に記載するべきです。
しかし、2社3社とある場合にはその法則が適用されないことが多いと覚えておきましょう。
添付書類系
2つ目の工夫は添付書類です。
応募書類に「履歴書・職務経歴書」とあるのを見て、それだけで良いと安心していませんか?
履歴書と職務経歴書は必須書類ですが、それ以外を送ってはいけないとは書いていないはずです。
転職は人生を変えます。
志望度合いが高い企業であるならば、できる努力はやりきるべきです。
志望動機書
志望動機書
私は貴社への入社を第一志望としております。
本書は、第一志望の3つの根拠についてお伝えするべくその要点を記載するものです…
志望動機書は転職エージェント経由の転職活動を実施する際にしばしば登場します。
用途は、経歴的に遜色ない候補者同士の志望度合いの高さ・温度感をはかるものです。
- 「御社が第一志望」だと伝える
- 志望理由は3点にまとめる
- A4一枚におさめる
以上を目安とし、勝負の企業には志望動機書を送付するべきです。
当然、作成の過程でその企業について深く研究する必要があります。
しかし、その時得た情報は必ず面接の際に役立ちます。
相手を知ること、相手への興味こそ志望度合いの証明。
それは100回の「第一志望だ」に勝るのです。
転職理由書
転職理由書
私は経歴の中で3回の転職、4社の経験を持ちます。
一般的に見て少し多くなってしまった点につき、特別にお伝えしたい事情があり本書を作成しました…
転職理由書はまだ一般的ではない書類です。
そもそも作る必要がある転職希望者の絶対数が少ないことが理由です。
珍しいということは逆手に取れます。
ただでさえ転職回数というのはデジタルの足切り指標になってしまうことが多いもの。
「なんだこの書類?」と手に取ってもらうこと自体が逆転への一手に成り得るのです。
- 「今回が最後の転職」だと伝える
- 転職理由について可能な限り外部要因と不可抗力で表現する
- A4一枚におさめる
転職理由書の作成は難解だと思います。
可能な限り今までの転職を自己都合によるものではなく、必然性あるものとして脚色する必要があるからです。
入社動機の消滅や転職理由の正当化と考え方のモデルはありますので、まずは整理する気持ちで一度書いてみて下さい。
転職理由を伝えきることができれば、転職回数によるハンデが消えるため選考はぐっと優位になります。
提出方法系
3つ目の工夫は実際の提出方法について。
経歴をブラッシュアップし、オリジナルの添付書類も揃えた。
ここまでがんばったのだから提出する方法にだってこだわりたいものです。
転職エージェントを使う
「今回応募されたこの候補者さんはこんな方でして、是非一度お会いただければと思います!」
転職エージェントにはメリットもデメリットもあります。
しかし、書類選考に不利な経歴を持ってしまっている場合はとてつもなく有効な存在になります。
- 応募企業の選考の傾向を知っている
- 応募人物の印象ついて伝えることができる
特に重要なのが後者でシンプルに言うと、
「正直転職回数では足切り基準ですが、お願いです一度会ってあげてください!」
このように伝えてくれるということです。
転職活動の仕組み上、第三者的に自分をフォロー可能で応募企業と会話できるのはコネか転職エージェントだけです。
直接人事に連絡する
「今回求人を見て応募したXXと申します。要項にはなかったのですが別途書類を添付させていただきたく…」
転職サイトであれ企業ホームページであれ、最近の求人への応募はほぼ専用フォームを使います。
気が利いている設計だと必須書類に加えて2、3ファイルをつけることもできますが、そうでない場合は逆にチャンス。
求人の問い合わせ窓口はほぼ間違いなく別にあり、それは人事部への連絡先です。
だったらもう応募と同時に自分で連絡してしまえば良いのです。
- 今回、求人への応募をしたく考えている
- 必須書類に加えて、どうしても提出したい書類があるので連絡した
- なにとぞ宜しくお願い致します。
極めて常識的な行動であると思います。
ここで「必須書類以外は送らないで下さい」と言われればさすがにそれは致し方無し。
むしろ勝手に送って勝手に落選するのを防げたとポジティブに捉えましょう。
一連の行動でビジネススキルを見せること
ブラッシュアップ | 添付書類 | 提出方法 |
---|---|---|
職種カテゴライズ 時系列変動 |
志望動機書 転職理由書 |
転職エージェント 直接連絡 |
中途採用選考の最も手前のあるのが書類選考です。
デジタル指標でのアウトは致し方なし。どれだけがんばっても覆らない決まりもあります。
しかし、通り一辺倒のスタイルで個性を出せないのは勿体無い。
書類選考合格率を1%でもあげようとする努力と工夫は、例えばこんな側面を見せるものです。
- 営業:売り込む力
- 企画:プレゼンの見せ方
- 開発:論理的思考力
皆さん、日々のビジネスの大部分で書類を作成されていると思います。
その意味では、一連の転職活動の中で最も実態的なビジネススキルを示すのは書類選考のアウトプットであるとも言えるわけです。
悔いのない書類選考を。
リクルート出身で自身も数度の転職経験を持つ筆者が選びました。
転職エージェントには個々の強みと特色が存在します。
貴方にとってベストに近い選択肢を複数持ち、積極的に彼らを利用していきましょう。