転職は絶対にするべきなのか?
究極の問いですが、今の日本社会の常識ではNOでしょう。
とりわけ年功序列型の企業ならば新卒からの生え抜きが最も優位。
ですから、転職は何らかの課題解決の手段として選択される事が多くなります。
その前提の上で、転職自体に潜むリスクやそのメリット・デメリットについて考えていきましょう。
転職は目的ではなく手段である
成果主義、職能主義が少しずつ日本社会で広がりを見せています。
しかし、依然としてプロパー・生え抜き・勤め上げという言葉にはブランドがあり、企業内での地位も安泰です。
一方日本より転職が一般的である欧米では、総合職という考え方の馴染みが薄く、職能・スキルに根ざした考え方です。
すなわち、営業職だった人間がバックオフィスのスタッフに転身するとその職能はゼロ-新人に近い給与になったりもするのです。
代わりに、会社が変わってもスキルが維持できる仕事であれば報酬は高くなることも多い。
このように、実態的な経済風土の違いからまずは日本における転職はそもそもリスクを孕んでいることがご理解頂けるかと思います。
そのうえで、転職を成功と呼べる形に近づけたり、メリットを享受するにはどうすればよいか。
本頁で考察していきたいと思います。
転職の3つの形
転職は自己実現や課題解決の手段であると既にお話しました。
目的があるか必要に迫られて選択する、転職動機の部分で3つの形に分類が可能です。
守りの転職
「辛い。辛い。早くこの職場から逃げ出したい。」
守りの転職とは、あまりに過酷な現状からの逃避で実施される転職です。
心や身体に不調をきたすほどの職場環境からは離脱して自分を守ることをお勧めしますが、ダイレクトに転職するのは危険です。
目の前の問題や人間関係の辛さで判断力が鈍った状態で転職活動を実施しても、ただ内定を目的とする動きしか取れません。
いわば、貴方という優秀な人材を大赤字でバーゲンに出すようなもので、あらゆる条件が悪化してしまうリスクを孕んでいます。
守りの転職をするくらいならば一度潔く休職か退職をしましょう。
攻めの転職
「自分のチカラを、もっと特化した分野で試してみたい…」
攻めの転職とは、事業や業務・ポジションやリターン、何らかの意欲と希望に満ち溢れて実施する転職です。
転職によって得たいものが明確で、そのために払う犠牲についても納得した上で進めることができれば成功事例になり得るものです。
求めるものが明確であるがゆえ、攻めの転職ができる人はチャンスを待ちぬく根気も求められます。
自分が求める環境でないならば、内定辞退も辞さないという強い意志が攻めの転職を実現するのです。
最適な求人が出るまで待つ、というのが本当に難しい取り組みになります。
スカウト・オファー
「ぜひ貴方を◯◯部門の責任者としてお迎えしたく。」
特質な転職の形として、個人側に契機がないスカウト・オファーがあります。
実績ある人物を任意のポジションに迎えるための交渉なので、基本的に選考はなく決断のみが委ねられます。
自ら意識せずとも、1つの企業で実績を積み続けた実力者のみに開かれる転職の形と言えると思います。
転職のメリット・デメリット
転職動機から分類できる転職の側面について考えてきました。
ここからは具体的なメリットとデメリットについて言及したいと思います。
転職という行動の本質は「事業・業務内容と雇用条件・環境の変更」です。
ゆえに、この中で良かったことと悪かったことが生まれてくることになります。
転職のメリット:成功事例
- 給与アップ
- 権限アップ
- キャリアチェンジ
- 希望勤務地に配属
転職のメリットは「事業・業務内容と雇用条件・環境の改善」ということになります。
上記はさらにそれを具体的にピックアップしたものです。
業界下位からトップ企業への転職など、大幅なキャリアアップが成されないと全ての条件の改善は難しいかと思います。
しかしながら、人が転職を考える際には必ず譲れないポイントが生じるものです。
譲れない条件の改善が達成されれば、それは転職によるメリットを享受できたと言って良い成功事例になるわけです。
転職のデメリット:失敗事例
- 給与ダウン
- 権限ダウン
- 雇用形態の悪化
- 人間関係の悪化
同様に、転職のデメリットは「事業・業務内容と雇用条件・環境の悪化」になります。
転職の失敗事例はやはり逃げ・守りの気持ちで実施した時に多く、その多くは焦りから想像が及ばなかった部分に現れます。
最たる例は、人間関係からの逃避を目的とする転職。
転職先の企業、そして採用の結果配属される部門の人員について深く調査できなければ人間関係を改善する確信など得られるはずがないからです。
転職を思い立った時一番解決したかったはずの課題が、解決不可能なものである事があるのが転職のデメリットであり失敗事例になります。
業界も業種も勤務地も変更はできます。しかし他人を変えることはあまりに難しい願いなのです。
攻めの転職でメリットを生み出そう
攻めの転職 | 守りの転職 |
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メリットが出やすい ・給与アップ ・権限アップ ・キャリアチェンジ ・雇用条件の改善 |
メリットが出にくい ・給与ダウン ・権限ダウン ・雇用条件の悪化 ・新たな問題の顕在化 |
おさらいになりますが、転職には事業・業務・雇用条件・環境を変更する力があります。
一方で、年功序列を制度として持つ企業においてはスタートラインにズレが生じることから構造的にリスクを持ちます。
転職においてメリットを得るには、改善したいポイントをしっかりと定義し攻めの転職を実現すること。
逆にデメリットになってしまうのは、解決できない問題から逃避するために守りの転職をすることです。
「転職して良かった、本当に変えたい条件が変えられた。」
こう笑顔で話せる転職者になって頂けることを心より願います。
リクルート出身で自身も数度の転職経験を持つ筆者が選びました。
転職エージェントには個々の強みと特色が存在します。
貴方にとってベストに近い選択肢を複数持ち、積極的に彼らを利用していきましょう。