転職したい。
転職すれば今の悩みはなくなるはずだ。
ほら、昨日会ったあいつは転職して良かったと言っている。
ちょっと落ち着いて下さい。
転職は万能ではありませんよ。
いつも隣の芝生が青く見えてしまう方、青い鳥症候群の方に向けてそのそわそわした気分から抜け出すきっかけを考えてみましょう。
転職で解決できること・できないこと
「残念ながら今の環境では◯◯は難しく、御社ならばそれができると知り転職を希望するに至りました」
美しい転職理由のテンプレートです。
定番が定番と呼ばれるには相応の理由があります。それだけ支持される実績があるということですね。
転職理由とは、多くの場合はネガティブなもの。
ゆえに、「今の環境はこれができないが、御社ならばできる」という後半は志望動機に繋げた形のパターンが効果的なのです。
転職回数が多い人。青い鳥症候群と言われる人。
その方々の多くに共通する転職理由は、「転職で解決できない転職理由」を挙げてしまっている点です。
具体的に、転職で解決できる転職理由と解決できない転職理由を見ていきましょう。
転職で解決できる転職理由
業務内容
「今般、私が邁進してきた事業からの撤退が決定しました。しかし私はこの事業に賭けると就職当初から考えており〜」
- 自分は◯◯という事業・業務・職種をしたいと思っていた
- しかし、それができなくなってしまった
- ゆえに、それができる御社を志望する
3段論法にするとシンプルです。
やりたい仕事ができなくなったことが転職理由。
そして、御社ならそれができることがわかっているというのが志望動機です。
勤務地
「私的な都合ですが私はこの地域でしか働けません。残念ながら今回支社の廃止が決定し、私の力で貢献できそうな御社を〜」
- 自分は◯◯という地域で働きたいと思っていた
- しかし、それができなくなってしまった
- ゆえに、ここで働ける御社を志望する
働きたい地域での勤務ができなくなったことが転職理由。
でも、御社ならその地域で働けるというのが志望動機です。
この場合、論理を強固にするためには地域が限定された採用への応募またはその会社が当該地域にしか事業所を持たないという条件が求められます。
待遇
「私は◯◯という勤務形態でしか働けません。今回その制度がなくなったため、その雇用形態をお持ちの御社を〜」
- 自分は特定の雇用形態・雇用条件で働きたいと思っていた
- しかし、それができなくなってしまった
- ゆえに、その制度を持つ御社を志望する
働きたいスタイルでの雇用が継続できなくなったことが転職理由。
しかし、御社ならその形で働けるというのが志望動機です。
当然ながら、「では当社でもその制度がなくなったらどうする?」という突っ込みには返答できねばなりませんが、ミスマッチを避けるためにはむしろ確認すべき事項でしょう。
転職で解決できない転職理由
人間関係
「残念ながら部門の人間やお客様とうまく協力関係を築くことができませんでした。御社では心機一転〜」
- 自分は社内の人間や顧客と信頼関係・協力関係を構築していきたかった
- しかし、それができなかった
- ゆえに、御社ではがんばる
はい、見事に論理破綻しましたね。
理由は簡単。協力関係を築くことができなかった理由が転職では解決しないからです。
人間関係を苦にした転職理由は本当に多いです。
しかし、転職先の従業員およびそのステークホルダーの全てを把握しないかぎり、人間関係が今後問題にならないことを証明することはできません。
マネジメント
「心苦しいことに、社が求める目標をクリアすることができませんでした。御社ではそうならぬよう〜」
- 自分は自分に与えられたノルマ・ミッションを充足したかった
- でも、できなかった
- ゆえに、御社ではそうならないようにする
論理破綻その2。
多くの場合、マネジメントを苦にしてここから上司との人間関係の崩壊に発展していきます。
目標未達による圧迫マネジメントを苦にする転職動機は営業職に非常に多いケースです。
でも、何故目標をクリアできなかったのかを正確に分析できなければ転職面接の場でも綻びがでてしまうことでしょう。
当然転職後のマネジメントのきつさを想定することも難しく、自らの転職原因に対する解決の目処が立たないことになってしまいます。
自分に内にある問題は転職では解決しない
「本当は原因は会社じゃなくて貴方の心の有り様だと気付いているんでしょう?転職なんておやめなさい。」
ある伝説の転職エージェントの言葉です。
彼は転職理由に潜む転職希望者自身が持つ問題をいち早く見抜き、転職がその解決手段にならない場合はこうして相談者を帰らせてしまう事がありました。
これこそが青い鳥症候群を防止する手段に他ならないと思います。
「転職して今の状況から逃げ出したいんです。」
「何言ってるんだ。逃げ出した先も100%地獄だよ?」
心の声に対して、厳しい現実を突きつけるこのような言葉を発してくれる相談者にめぐりあえるかどうかはその方の転機になりうる大きな出来事です。
転職したいと思ったら、敢えて周りで一番厳しい事を言ってくれそうな相手に相談してみるというのも効果的かも知れませんよ。
転職回数が多いと自覚している貴方、貴方の転職理由は果たして転職で解決する転職理由ですか?
リクルート出身で自身も数度の転職経験を持つ筆者が選びました。
転職エージェントには個々の強みと特色が存在します。
貴方にとってベストに近い選択肢を複数持ち、積極的に彼らを利用していきましょう。